一般の生活者が,日常生活の中で科学を話題にし,語り合う
機会はなかなかありません.けれども,科学はとても身近で
重要な課題です.
私たち「科学ひろば」は,科学について単に知識を得るこ
とにとどまらず,ゲストの方を交えて対話し,参加者それぞ
れが考える「場」をつくることが重要と考えています.
非研究者の一般社会人で構成されたメンバーのもと,生活
者の目線にこだわってサイエンスカフェを行っています.
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2050年01月01日
2009年06月28日
第10回 科学ひろばサイエンスカフェ「からだと仲よく 〜「ほぼ日の健康手帳」を通じて,自分のからだと向き合う」(6/21) 無事終了しました!
お陰様で,今回も盛況でした.
今回のサイエンスカフェに参加された稲垣恵さんに,参加者
レポートを書いていただきましたので,転載いたします.

===========
テーマ:からだと仲よく
〜「ほぼ日の健康手帳」を通じて,自分のからだと向き合う
ゲスト:本田美和子さん(国立国際医療センター 内科医)
雨模様の中、会場には10数名の参加者が集まり、第10回の科学
ひろばサイエンスカフェがはじまりました。参加者は男女ほぼ
半々で、ご夫婦でいらした方や、お友達に誘われてきた方、科
学ひろばサイエンスカフェによく参加されている方、医療に関
わる活動をされている方、サイエンスカフェは初めての方等さ
まざまでした。
本田先生は、本田先生が監修された「Dear DoctorS ほぼ日の
健康手帳」を作ることになった背景や目的の説明をとおして、
となりのお姉さんのような親しみやすさで「自分のからだを守
る」ことの大切さを、わかりやすい言葉でお話してくださいま
した。
病院で医師が会えるのは、すでに健康が破綻した状態で医療機
関を訪れる人で、もしかすると健康が破綻した時点まで振り返
ると回避可能だったかもしれない。しかし、まだ健康が破綻し
ていない人に会うのは困難である。それならば、自分のからだ
を大切に守ろうという気持ちを育てることが絶対に必要、とい
う考えから「自分のカルテ」「おとなの母子手帳」として「健
康手帳」を作るに至ったとのことでした。
科学ひろばのサイエンスカフェでは、通常はスタッフ側からゲ
ストを依頼するそうなのですが、今回は本田先生からサイエン
スカフェのお話があったそうです。病院で待っているのではな
く、健康に役立つ情報を示す機会があれば伝えたい、とおっし
ゃっていたことが今回のサイエンスカフェで実現されているの
だなと思いました。
本田先生のお話の後、参加者の方々の病院での経験談や質問へ
の回答の形で、「自分を守る」ことの大切さが、自分の家族を
守り、地域を守ることにつながった実例をお話いただき、理解
が深まりました。
また、国が電子カルテを普及しようとしている中で、「健康手
帳」は、紙でできた手軽に持ち歩けるサイズものであることが
実はとても重要だと思いました。わざわざ電源をいれてコンピ
ューターを立ち上げなくてもどこでも自分のことがわかるとい
うことが大切だと思います。
1時間半はあっという間で、先生のお話をもっと聞きたい、と
思ったところで終了時間になりました。私自身は本田先生や参
加者の皆さんから新しい考えを吸収させていただきましたが、
自分からは何も発言できなかったのが心残りでした。まずはし
っかりと自分を振り返り、家族に、そしてゆくゆくは地域に働
きかけられるようになりたいと思います。その方法は、日々の
ことから身近な簡単な方法で始められるということを教えてい
ただきましたので。
(文:稲垣 恵)
今回のサイエンスカフェに参加された稲垣恵さんに,参加者
レポートを書いていただきましたので,転載いたします.
===========
テーマ:からだと仲よく
〜「ほぼ日の健康手帳」を通じて,自分のからだと向き合う
ゲスト:本田美和子さん(国立国際医療センター 内科医)
雨模様の中、会場には10数名の参加者が集まり、第10回の科学
ひろばサイエンスカフェがはじまりました。参加者は男女ほぼ
半々で、ご夫婦でいらした方や、お友達に誘われてきた方、科
学ひろばサイエンスカフェによく参加されている方、医療に関
わる活動をされている方、サイエンスカフェは初めての方等さ
まざまでした。
本田先生は、本田先生が監修された「Dear DoctorS ほぼ日の
健康手帳」を作ることになった背景や目的の説明をとおして、
となりのお姉さんのような親しみやすさで「自分のからだを守
る」ことの大切さを、わかりやすい言葉でお話してくださいま
した。
病院で医師が会えるのは、すでに健康が破綻した状態で医療機
関を訪れる人で、もしかすると健康が破綻した時点まで振り返
ると回避可能だったかもしれない。しかし、まだ健康が破綻し
ていない人に会うのは困難である。それならば、自分のからだ
を大切に守ろうという気持ちを育てることが絶対に必要、とい
う考えから「自分のカルテ」「おとなの母子手帳」として「健
康手帳」を作るに至ったとのことでした。
科学ひろばのサイエンスカフェでは、通常はスタッフ側からゲ
ストを依頼するそうなのですが、今回は本田先生からサイエン
スカフェのお話があったそうです。病院で待っているのではな
く、健康に役立つ情報を示す機会があれば伝えたい、とおっし
ゃっていたことが今回のサイエンスカフェで実現されているの
だなと思いました。
本田先生のお話の後、参加者の方々の病院での経験談や質問へ
の回答の形で、「自分を守る」ことの大切さが、自分の家族を
守り、地域を守ることにつながった実例をお話いただき、理解
が深まりました。
また、国が電子カルテを普及しようとしている中で、「健康手
帳」は、紙でできた手軽に持ち歩けるサイズものであることが
実はとても重要だと思いました。わざわざ電源をいれてコンピ
ューターを立ち上げなくてもどこでも自分のことがわかるとい
うことが大切だと思います。
1時間半はあっという間で、先生のお話をもっと聞きたい、と
思ったところで終了時間になりました。私自身は本田先生や参
加者の皆さんから新しい考えを吸収させていただきましたが、
自分からは何も発言できなかったのが心残りでした。まずはし
っかりと自分を振り返り、家族に、そしてゆくゆくは地域に働
きかけられるようになりたいと思います。その方法は、日々の
ことから身近な簡単な方法で始められるということを教えてい
ただきましたので。
(文:稲垣 恵)
2009年04月29日
第10回 科学ひろばサイエンスカフェ(6/21)参加者募集を開始しました
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第10回 科学ひろばサイエンスカフェ
からだと仲よく
〜「ほぼ日の健康手帳」を通じて,自分のからだと向き合う
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一般の生活者が,日常生活の中で科学を話題にし,語り合う機会はなかなか
ありません.けれども,科学はとても身近で重要な課題です.
私たち「科学ひろば」は,科学について単に知識を得ることにとどまらず,
ゲストの方を交えて対話し,参加者それぞれが考える「場」をつくることが
重要と考えています.
非研究者の一般社会人で構成されたメンバーのもと,生活者の目線にこだわ
ってサイエンスカフェを行っています.
☆ ☆ ☆
今回は,セルフケア,セルフメディケーションをテーマに取り上げます.
ゲストの本田美和子さんは,内科医で現在,国立国際医療センター戸山病
院・エイズ治療研究開発センターの医長をされています.東京大学の医療
政策人材養成講座を修了され,医療政策に対しても高いモチベーションを
おもちの方です.
以前より,ふだんから自分自身のからだについて知り,自分で自分を守る
ことの大切さを訴えて来られました.1999年4月より2008年6月までの約9年
間,健康・医療をテーマに「ほぼ日刊イトイ新聞」に執筆され,昨年に出
された「Dear DoctorS ほぼ日の健康手帳」の監修をつとめられました.
今回は「ほぼ日の健康手帳」をまとめるにあたっての経緯を伺いながら,
ふだんから自分のからだと向き合うことの重要性,さらに医療政策の話や
感染症等についても,自由に語り合っていければと考えています.
皆さまのご関心に沿って,内容については柔軟に対応していきたいと思い
ますので,どうぞお気軽にご参加ください.
☆ ☆ ☆
日時 :2009年 6月21日(日)14:00〜16:00
場所 :品川区大崎第一区民集会所 第2集会室
東京都品川区西五反田3-6-3(五反田駅,目黒駅から徒歩10分)
テーマ:からだと仲よく
〜「ほぼ日の健康手帳」を通じて,自分のからだと向き合う
ゲスト:本田美和子さん(国立国際医療センター,内科医)
参加費:800円(会場代,資料代および飲み物代等として)
申込み:会場および資料準備の都合で,事前申込みをお願い致します.
(6月20日(土)までにお願いします)
※参加希望者多数の場合,申込み先着順とさせていただきます
※開催当日の参加キャンセルは,ご遠慮ください
主催 :科学ひろばサイエンスカフェ
参加希望される方はタイトルに「科学ひろば申込み」と明記のうえ,お名前
と参加人数をメールでお申し込みください.
申込みはこちらへお願いします.
第10回 科学ひろばサイエンスカフェ
からだと仲よく
〜「ほぼ日の健康手帳」を通じて,自分のからだと向き合う
*********************************************************
一般の生活者が,日常生活の中で科学を話題にし,語り合う機会はなかなか
ありません.けれども,科学はとても身近で重要な課題です.
私たち「科学ひろば」は,科学について単に知識を得ることにとどまらず,
ゲストの方を交えて対話し,参加者それぞれが考える「場」をつくることが
重要と考えています.
非研究者の一般社会人で構成されたメンバーのもと,生活者の目線にこだわ
ってサイエンスカフェを行っています.
☆ ☆ ☆
今回は,セルフケア,セルフメディケーションをテーマに取り上げます.
ゲストの本田美和子さんは,内科医で現在,国立国際医療センター戸山病
院・エイズ治療研究開発センターの医長をされています.東京大学の医療
政策人材養成講座を修了され,医療政策に対しても高いモチベーションを
おもちの方です.
以前より,ふだんから自分自身のからだについて知り,自分で自分を守る
ことの大切さを訴えて来られました.1999年4月より2008年6月までの約9年
間,健康・医療をテーマに「ほぼ日刊イトイ新聞」に執筆され,昨年に出
された「Dear DoctorS ほぼ日の健康手帳」の監修をつとめられました.
今回は「ほぼ日の健康手帳」をまとめるにあたっての経緯を伺いながら,
ふだんから自分のからだと向き合うことの重要性,さらに医療政策の話や
感染症等についても,自由に語り合っていければと考えています.
皆さまのご関心に沿って,内容については柔軟に対応していきたいと思い
ますので,どうぞお気軽にご参加ください.
☆ ☆ ☆
日時 :2009年 6月21日(日)14:00〜16:00
場所 :品川区大崎第一区民集会所 第2集会室
東京都品川区西五反田3-6-3(五反田駅,目黒駅から徒歩10分)
テーマ:からだと仲よく
〜「ほぼ日の健康手帳」を通じて,自分のからだと向き合う
ゲスト:本田美和子さん(国立国際医療センター,内科医)
参加費:800円(会場代,資料代および飲み物代等として)
申込み:会場および資料準備の都合で,事前申込みをお願い致します.
(6月20日(土)までにお願いします)
※参加希望者多数の場合,申込み先着順とさせていただきます
※開催当日の参加キャンセルは,ご遠慮ください
主催 :科学ひろばサイエンスカフェ
参加希望される方はタイトルに「科学ひろば申込み」と明記のうえ,お名前
と参加人数をメールでお申し込みください.
申込みはこちらへお願いします.
2009年04月11日
今日の読売新聞(東京本社版)朝刊 くらし・家庭面に科学ひろばが
紹介されました.
「生活と司法」という連載記事の中に織り込まれています.
先日のカフェ話題提供者の中村多美子さんと,主催メンバーのひとりである
私のコメントが掲載されております.
科学面ではなく,くらし・家庭面に載ったというところがミソかも.
「生活と司法」という連載記事の中に織り込まれています.
先日のカフェ話題提供者の中村多美子さんと,主催メンバーのひとりである
私のコメントが掲載されております.
科学面ではなく,くらし・家庭面に載ったというところがミソかも.
2009年03月30日
第9回 科学ひろばサイエンスカフェ「科学的証拠って何? 〜模擬裁判を通じて,法廷における科学のありかたを考える」(3/28) 無事終了しました!
お陰様で,たいへん盛況でした.
今回のサイエンスカフェに参加された蛯原弘子さんに,参加者
レポートを書いていただきましたので,転載いたします.
===========
科学的証拠って何?
〜模擬裁判を通じて,法廷における科学のありかたを考える
(文:蛯原弘子)
「裁判のロールプレイ?科学的証拠って?」と興味・関心のみに突き動
かされて☆初参加☆しました。参加者の大半は男性。夕方からの開催だ
と、女性の参加者は少なくなる?参加者は3つのテーブルにのんびり座
って、お茶菓子を片手に穏やかにおしゃべりしています。
18時になると、早速、弁護士の中村多美子さんのご紹介、そして裁判の
基礎知識の簡単な説明から、サイエンスカフェが始まりました。
今回の材料は、「携帯電話の電波塔の建設の差し止めを求めるべきかど
うか」という内容の実際にあった裁判のロールプレイです。「3つのテ
ーブル」は仕掛けであり、参加者はテーブルごとに「原告代理人弁護グ
ループ」「被告代理人弁護グループ」「裁判官グループ」と分かれまし
た。
このような討論メインの、しかも裁判モノというサイエンスカフェを体
験された方はあまりいらっしゃらないのではないか、と私は思いました。
そこで、その様子を少し長めにお示しします。
それぞれのグループに、裁判の証拠説明書のサンプルが配られます。
ちなみに私は、この裁判を起こした原告側(住人側)グループです。資
料は60枚近くもあります。30分ほどかけてグループの皆で資料を読み、
訴訟のための戦略会議をします。他のグループも同様に会議をしていま
す。

議論のポイントは予め講師より与えられました。主なポイントは次のと
おり(配付資料より引用)です。

【原告側】
・携帯電話の中継塔を差し止めるための根拠(証拠)とは何か。
・中継塔を操業すべしとする被告主張を論破するために必要な証拠は何
か。
【被告代理人弁護団側】
・中継塔を差し止めるための根拠と原告が主張する証拠に対する反論。
・差し止めるべきではないとする主張の論拠。
【裁判官グループ】
・どんな場合に、差し止めを認めるべきなのか。
・それには誰のどんな証拠が必要なのか。
続いて、各グループから弁論を行う人を1人ずつ出して、原告側弁論(約
10分)、被告側弁論(約10分)、原告側反論(約5分)、被告側反論(約
5分)を行います。
この弁論、またこれに先だったグループ内会議では、活発な意見の交換が
行われました。黙って眺めているだけの人はほとんどいません。とても脳
を刺激される話し合いでした。その内容は、というと、とても簡単には伝
えられません。次の機会がありましたら、ぜひ体験して下さい。

ところで、今回のサイエンスカフェのテーマは裁判の内容や議論の勝ち負
けではなく、「裁判における科学的証拠って何?」です。
中村さんから渡された資料は、原告側、被告側それぞれの証拠書類のリス
トとその内容の簡単な概要です。原告側の主な資料は、電波被害患者の事
例、電磁波とガンなどの病気の発生の関係を示す科学論文などです。被告
側の主な資料は、電波塔を建てるにあたっての国の基準、携帯電話の電波
と健康の関係を示す科学論文などです。
「科学的な証拠」として、科学論文は有効であるような気がします。しか
し、原告側の提示する論文では健康被害の可能性がある、とあり、被告側
の提示する論文で健康被害の可能性は無い、とあります。
どちらが正しい?
このサイエンスカフェの参加者の議論から出た意見には、「科学論文は、
現時点で証明できる事実を示すのみである」というのがあります。実際の
裁判では、これらの科学論文の「正しさ」を巡って長い応酬があったそう
です。そして実際の判決は「原告側の訴えを棄却する」でした。
将来の健康被害の可能性について、科学的に証拠をあげてその正しさを明
らかにすることは、とても難しいでしょう。参加者の中からは、このよう
な裁判例の際には、環境保全や化学物質の安全性の問題の際に聞かれる
「予防原則」(詳しい意味は<環境用語><予防原則><予防的措置>で
検索できます)についても検討すべきである、との指摘もありました。し
かし、現在の私たちの国では、「予防原則」の考え方が浸透していないこ
とも指摘され、少なくとも過去の裁判では「予防原則」を理由に住民側が
裁判に勝った例はないそうです(中村先生のお話しでは、フランスでは住
民側が勝った例が多いそうです)。
私の感想を最後にお示しして、このレポートを終えたいと思います。
“サイエンス”に関わる仕事をしている私は、少なくともこのような裁判
例において「科学」は有効ではないかもしれない、という結果に少々ショ
ックを受けました(もちろん「科学」そのものと例えば「科学的捜査」と
は別物です。科学的手法によってコツコツと「事実」を積み上げることは、
たいへんに重要なことと思います。)。
私は、「科学」とは真実に近づこうとする学問であるとともに、私たちの
生活や価値観に変化を与えるキッカケとなる「何か」と考えています。一
方で、「科学」によって私たちの生活(今回の裁判例では<生活の安全・
安心>)や価値観がどのように・どの程度変化したのか、将来どうなるの
かについて、「科学的に」示すことはとても難しいことと思います。しか
しながら、「科学」と「生活」がとても近しい関係にある現在、「科学」
と「生活」について知ること、考えること、話すことは大切なことだな、
と改めて思いました。
今回のサイエンスカフェに参加された蛯原弘子さんに,参加者
レポートを書いていただきましたので,転載いたします.
===========
科学的証拠って何?
〜模擬裁判を通じて,法廷における科学のありかたを考える
(文:蛯原弘子)
「裁判のロールプレイ?科学的証拠って?」と興味・関心のみに突き動
かされて☆初参加☆しました。参加者の大半は男性。夕方からの開催だ
と、女性の参加者は少なくなる?参加者は3つのテーブルにのんびり座
って、お茶菓子を片手に穏やかにおしゃべりしています。
18時になると、早速、弁護士の中村多美子さんのご紹介、そして裁判の
基礎知識の簡単な説明から、サイエンスカフェが始まりました。
今回の材料は、「携帯電話の電波塔の建設の差し止めを求めるべきかど
うか」という内容の実際にあった裁判のロールプレイです。「3つのテ
ーブル」は仕掛けであり、参加者はテーブルごとに「原告代理人弁護グ
ループ」「被告代理人弁護グループ」「裁判官グループ」と分かれまし
た。
このような討論メインの、しかも裁判モノというサイエンスカフェを体
験された方はあまりいらっしゃらないのではないか、と私は思いました。
そこで、その様子を少し長めにお示しします。
それぞれのグループに、裁判の証拠説明書のサンプルが配られます。
ちなみに私は、この裁判を起こした原告側(住人側)グループです。資
料は60枚近くもあります。30分ほどかけてグループの皆で資料を読み、
訴訟のための戦略会議をします。他のグループも同様に会議をしていま
す。
議論のポイントは予め講師より与えられました。主なポイントは次のと
おり(配付資料より引用)です。
【原告側】
・携帯電話の中継塔を差し止めるための根拠(証拠)とは何か。
・中継塔を操業すべしとする被告主張を論破するために必要な証拠は何
か。
【被告代理人弁護団側】
・中継塔を差し止めるための根拠と原告が主張する証拠に対する反論。
・差し止めるべきではないとする主張の論拠。
【裁判官グループ】
・どんな場合に、差し止めを認めるべきなのか。
・それには誰のどんな証拠が必要なのか。
続いて、各グループから弁論を行う人を1人ずつ出して、原告側弁論(約
10分)、被告側弁論(約10分)、原告側反論(約5分)、被告側反論(約
5分)を行います。
この弁論、またこれに先だったグループ内会議では、活発な意見の交換が
行われました。黙って眺めているだけの人はほとんどいません。とても脳
を刺激される話し合いでした。その内容は、というと、とても簡単には伝
えられません。次の機会がありましたら、ぜひ体験して下さい。
ところで、今回のサイエンスカフェのテーマは裁判の内容や議論の勝ち負
けではなく、「裁判における科学的証拠って何?」です。
中村さんから渡された資料は、原告側、被告側それぞれの証拠書類のリス
トとその内容の簡単な概要です。原告側の主な資料は、電波被害患者の事
例、電磁波とガンなどの病気の発生の関係を示す科学論文などです。被告
側の主な資料は、電波塔を建てるにあたっての国の基準、携帯電話の電波
と健康の関係を示す科学論文などです。
「科学的な証拠」として、科学論文は有効であるような気がします。しか
し、原告側の提示する論文では健康被害の可能性がある、とあり、被告側
の提示する論文で健康被害の可能性は無い、とあります。
どちらが正しい?
このサイエンスカフェの参加者の議論から出た意見には、「科学論文は、
現時点で証明できる事実を示すのみである」というのがあります。実際の
裁判では、これらの科学論文の「正しさ」を巡って長い応酬があったそう
です。そして実際の判決は「原告側の訴えを棄却する」でした。
将来の健康被害の可能性について、科学的に証拠をあげてその正しさを明
らかにすることは、とても難しいでしょう。参加者の中からは、このよう
な裁判例の際には、環境保全や化学物質の安全性の問題の際に聞かれる
「予防原則」(詳しい意味は<環境用語><予防原則><予防的措置>で
検索できます)についても検討すべきである、との指摘もありました。し
かし、現在の私たちの国では、「予防原則」の考え方が浸透していないこ
とも指摘され、少なくとも過去の裁判では「予防原則」を理由に住民側が
裁判に勝った例はないそうです(中村先生のお話しでは、フランスでは住
民側が勝った例が多いそうです)。
私の感想を最後にお示しして、このレポートを終えたいと思います。
“サイエンス”に関わる仕事をしている私は、少なくともこのような裁判
例において「科学」は有効ではないかもしれない、という結果に少々ショ
ックを受けました(もちろん「科学」そのものと例えば「科学的捜査」と
は別物です。科学的手法によってコツコツと「事実」を積み上げることは、
たいへんに重要なことと思います。)。
私は、「科学」とは真実に近づこうとする学問であるとともに、私たちの
生活や価値観に変化を与えるキッカケとなる「何か」と考えています。一
方で、「科学」によって私たちの生活(今回の裁判例では<生活の安全・
安心>)や価値観がどのように・どの程度変化したのか、将来どうなるの
かについて、「科学的に」示すことはとても難しいことと思います。しか
しながら、「科学」と「生活」がとても近しい関係にある現在、「科学」
と「生活」について知ること、考えること、話すことは大切なことだな、
と改めて思いました。



